BIM ビム
建物のデータベース化を中心とした設計・施工・維持管理のデジタル基盤
Building Information Modeling の略。建物を構成するすべての要素(壁、柱、設備機器など)を、形状だけでなく属性データを持つ「レコード」としてモデル化し、図面・数量・仕様をその一元データから生成する考え方。CADが「線の集合」であるのに対し、BIMは「データベース+3D可視化」という構造を持つ。
BIM・AEC・建設DX領域の専門用語57語を、編集部が独自に整理した用語集です。海外発信の用語と、日本の建築実務固有の用語(国土交通省BIM/CIM、ST-Bridge、Extensions JPN、建築BIM推進会議など)を統合的にカバーしています。
本用語集の特徴: 1行の定義に加え、各用語に「なぜ重要か」「実務でどう使うか」「日本市場での文脈」を含めた詳細解説を付与しています。BIM/AECの実務者・研究者・営業・経営層・学生が、業界の構造を素早く把握するための一次資料としてご活用ください。
建物のデータベース化を中心とした設計・施工・維持管理のデジタル基盤
Building Information Modeling の略。建物を構成するすべての要素(壁、柱、設備機器など)を、形状だけでなく属性データを持つ「レコード」としてモデル化し、図面・数量・仕様をその一元データから生成する考え方。CADが「線の集合」であるのに対し、BIMは「データベース+3D可視化」という構造を持つ。
線・面で図面を作成するコンピュータ支援設計の旧来手法
Computer-Aided Design の略。2Dの線情報や3Dの幾何形状を手作業で組み合わせて図面を作成する手法。BIMと違って「壁」「柱」といったオブジェクト属性は持たず、データベース的な集計や属性検索ができない。AutoCADがデファクトスタンダード。
BIMモデルの詳細度を段階的に定義する指標
Level of Development(情報の確度+幾何精度)または Level of Detail(幾何の詳しさのみ)。LOD 100〜500の5段階で、基本計画から維持管理段階までのモデル成熟度を表現する。日米英で運用が微妙に異なり、日本では国土交通省BIM/CIMが独自定義を持つ。
目的駆動型でBIM情報の必要レベルを定義する欧州発の概念
ISO 19650 系で導入された新しい指標。LOD が「どこまで作り込むか」を機械的に決めるのに対し、LOIN は「何のために、誰が、いつ、どの情報を必要とするか」という目的から逆算して必要情報を定義する。過剰モデリングを避ける現実的な考え方。
プロジェクト単位のBIM運用ルール文書
BIM Execution Plan。プロジェクト開始時に、関係者間で「誰が何のBIMモデルを、いつまでに、どんな品質で作るか」を文書化する計画書。役割分担、命名規則、データ受け渡し方法、座標系、LOD、ソフト互換性、CDE運用などを規定する。
発注者が受注者に求めるBIM情報の仕様書
Exchange Information Requirements。ISO 19650 で定義される文書で、発注者・施主側が「BIM成果物として何を、どんなフォーマットで、どのタイミングで受け取りたいか」を事前に明示する。これに基づいて受注者が BEP を策定する。
プロジェクトの全情報を一元管理するクラウド基盤
Common Data Environment。BIMモデル、図面、文書、議事録、確認事項などを一元管理し、関係者全員が同じ最新情報にアクセスできるクラウド環境。Autodesk Construction Cloud、Trimble Connect、ProjectWise、BIMcloud、Bluebeam Studio などが代表的な実装。
設計・施工段階のBIMモデル一式
Project Information Model。設計から施工までの段階で蓄積されるBIMモデル、関連文書、ジオメトリ情報、属性データの総体。完成・引渡し時に AIM(Asset Information Model)へ移行する。
維持管理段階で使う資産BIMモデル
Asset Information Model。建物完成後、運用・維持管理フェーズで使うBIMモデル。設計時のPIMから、運用に必要な情報(機器型番、保守履歴、保証期限など)だけを抽出して構築する。FM(ファシリティマネジメント)BIM とも呼ばれる。
物理空間とリアルタイム同期する仮想モデル
実在する建物・インフラ・都市に対応する仮想モデルで、IoTセンサーや運用データとリアルタイムに同期する。AIM の進化形と位置づけられることが多く、エネルギー最適化、群衆解析、災害シミュレーションなどに活用される。
Autodesk が開発する BIM 統合設計ソフトウェア
2002年にAutodeskが Revit Technology Corporation を買収して以降、BIM 市場のデファクトスタンダードとなった統合設計プラットフォーム。意匠・構造・MEP(設備)の3製品群を統合し、ファミリ(パラメトリック部品)とテンプレートで日本実務にも適用される。Autodesk AEC Collection に含まれる。
Graphisoft が開発する BIM 設計ソフトウェア
ハンガリーの Graphisoft(現 Nemetschek Group 傘下)が1984年から開発する世界最古級のBIMソフト。意匠設計事務所での採用比率が高く、Teamwork(共同編集)、BIMx(モバイルプレゼン)、BIMcloud(CDE基盤)と一体運用される。日本では Extensions JPN や ST-Bridge Converter で日本実務に対応。
福井コンピュータ製の日本特化BIMソフトウェア
福井コンピュータアーキテクトが開発する純国産BIM。日本の建築実務(確認申請、構造図、設備図、積算)に最適化された設計で、Architect・Construction・設備の製品ラインがある。J-BIM シリーズと連携し、ST-Bridge にも直接対応。
Nemetschek 傘下の汎用 BIM/CAD ソフト
Architect、Designer、Spotlight など複数のラインアップで建築・舞台・ランドスケープ・インテリアに対応。小規模事務所や教育機関でも採用され、永久ライセンスが選べる柔軟さを持つ。
ドイツ発の Nemetschek 主力BIMソフト
Nemetschek 創業期から続くドイツ・欧州標準のBIM。構造設計向けの精度と、SCIA Engineer などとの構造解析連携に強みを持つ。Allplan Bimplus(CDE)と組み合わせて運用される。
Trimble が提供する構造特化型 BIM ソフト
鉄骨、PC(プレキャスト)、現場打ちRCなどの構造設計・製作・施工に特化。詳細なディテール表現と製作図出力で世界の鉄骨ファブで採用され、構造設計者と製作者の橋渡しを担う。
Autodesk のクラウドネイティブな建築初期検討プラットフォーム
2023年に旧 Spacemaker をベースに Autodesk Construction Cloud と統合する形で発展中の次世代 AEC プラットフォーム。初期計画段階の敷地分析、日影、風、エネルギー解析を AI 支援で行い、Revit との往復編集を見据えた設計を持つ。
Trimble 傘下のスケッチ/モデリングソフト
Pro、Studio、Go、Free などのラインアップを持つ汎用3Dモデラー。BIMほどデータベース型ではないが、初期検討・プレゼン用途に強く、Trimble Connect 経由で BIM ワークフローにも組み込める。
NURBS ベースの自由曲面3Dモデラー
Robert McNeel & Associates が開発する3Dモデラー。曲面表現に強く、複雑形状を扱う建築デザイン、プロダクト、ジュエリーなどで広く使われる。Grasshopper と組み合わせてジェネレーティブデザインの基盤としても機能する。
Rhino 上で動くビジュアルプログラミング環境
ノードベースでアルゴリズミックなジオメトリ生成を可能にする Rhino 拡張。建築設計におけるジェネレーティブデザイン、パラメトリック最適化、解析連携で事実上の標準ツールとなっている。
オープンソースの AEC データ連携プラットフォーム
英国発のオープンソース AEC データプラットフォーム。Revit、Rhino、Grasshopper、Archicad、IFC などの間でデータを流通させ、Web ベースで可視化・コラボレーションできる。Suffolk Technologies の出資など、業界注目度が高い。
BIM 統合レビュー・課題管理プラットフォーム
スイス発の BIM レビューツール。Revit、Archicad、Navisworks、IFC など複数モデルを統合し、Web/モバイル/VR で確認・指摘交換できる。Hexagon Multivista との連携など、施工現場のデータと BIM をつなぐ動きが進む。
建築・建設業界向けPDFマークアップ・コラボツール
Nemetschek 傘下の Bluebeam Revu が代表製品。PDF 図面へのマークアップ、Studio Session でのリアルタイム共同編集、施工現場での承認ワークフローで広く使われる。
BIMモデルのベンダー中立交換フォーマット
Industry Foundation Classes。buildingSMART International が策定する BIM データの中立交換フォーマット。Revit、Archicad などベンダーロックインを越えてモデルを受け渡すための共通言語。IFC2x3、IFC4、IFC4.3(インフラ拡張) などのバージョンがある。
ベンダー中立な BIM 運用を推進する国際イニシアチブ
buildingSMART International が推進する、IFC・BCF・MVD・IDS などのオープン規格に基づく BIM ワークフロー。特定ベンダー製品に依存しないデータ交換、長期保存、関係者間共有を可能にする。
openBIM 規格を策定する国際非営利団体
IFC、BCF、MVD、bSDD、IDS などの BIM 関連オープン規格を策定・維持する国際組織。各国チャプターがあり、日本では buildingSMART Japan が活動している。
BIM プロジェクト情報管理の国際標準
英国 PAS 1192 をベースに国際化された BIM プロセス標準。Part 1(概念)、Part 2(プロジェクト段階)、Part 3(運用段階)、Part 5(セキュリティ)などからなり、EIR、BEP、CDE、命名規則、承認フローを規定する。
BIM上の指摘事項を交換するオープンフォーマット
BIM Collaboration Format。Solibri、Revizto、Navisworks などのレビュー指摘を、ベンダー横断で受け渡すための XML/JSON ベース仕様。BCFビューアでスクリーンショット、コメント、対象オブジェクトIDを共有できる。
維持管理に必要な属性情報をスプレッドシートで受け渡す規格
建物完成時に発注者へ引き渡す機器・部材・空間情報を、スプレッドシート形式で構造化する米国発の規格。FM 段階での資産管理に直結し、ISO 19650 系のワークフローにも組み込まれる。
特定用途向けの IFC サブセット定義
Model View Definition。IFC は巨大な仕様のため、用途ごとに必要な情報の部分集合を MVD として定義する。Coordination View、Reference View、Design Transfer View など、目的別の MVD が存在する。
IFC で受け渡すべき情報を機械可読に規定する新規格
Information Delivery Specification。発注者の EIR を機械可読な仕様として記述し、納品BIMが要件を満たしているかを自動検証できるようにする buildingSMART の新標準。IFC ファイルに対する単体テストの仕様書のような位置づけ。
日本独自の構造設計BIM中立フォーマット
日本建築構造技術者協会(JSCA)が策定する、構造設計データの中立交換フォーマット。Revit、Archicad、構造解析ソフト間でやり取りされ、Archicad には公式 ST-Bridge Converter が提供されるなど日本のBIM実務で重要な役割を持つ。
国土交通省BIM/CIMで採用される土木データ規格
北米発の LandXML をベースに、日本の道路・河川・土工に必要な拡張を加えた規格。3D設計成果物の納品形式として国土交通省BIM/CIM要領で採用されている。
寸法や条件をパラメータ化し連動変更可能にするモデリング手法
個別の幾何形状を直接編集するのではなく、寸法・関係性・条件をパラメータとして定義し、それらを変更すると関連する形状が自動更新されるモデリング方式。BIM、Revit のファミリ、Grasshopper、Solidworks などで採用される。
Revit における再利用可能なパラメトリック部品
Revit でドア、窓、家具、機器などを定義する再利用可能なコンポーネント。寸法・素材・属性をパラメータで管理し、プロジェクト内に配置されたインスタンス全てに影響する。社内ファミリライブラリの整備がBIM運用の鍵となる。
複数人で同一BIMモデルを並行編集する仕組み
Revit のセントラルモデル方式や Archicad の Teamwork に代表される、複数の設計者が同じBIMモデルを同時に編集できる仕組み。ワークセット(編集領域の分割)、要素のロック・解放、変更の同期管理が中核機能。
Revit のワークシェアリングで編集領域を分割する単位
「外壁」「内部間仕切り」「構造」「設備」など、モデルを編集領域に区切る論理グループ。誰がどのワークセットを所有しているかで編集権限が決まり、ロック・解放の運用ルールがチーム生産性を左右する。
BIM ビューの表示設定を再利用可能にする仕組み
平面、立面、断面、3Dビューにおける、表示するカテゴリ、線種、ハッチ、注釈表示などをテンプレート化する機能。プロジェクト全体で統一した図面表現を実現し、テンプレート整備の質が成果物品質を決める。
BIM オブジェクトを集計して表として出力する機能
Revit や Archicad における、モデル内のオブジェクトを属性条件でフィルタ・集計し、表として出力する機能。建具表、室面積表、機器リストなど、図面と同期する数量計算が可能になる。
機械・電気・配管の設備系BIMの総称
Mechanical(空調・機械)、Electrical(電気)、Plumbing(給排水)の頭文字。建物の設備系BIMをまとめて指す用語。Revit MEP、Archicad MEP Modeler、Magicad などが代表的なMEP特化ツール。
複数BIMモデル間の干渉を自動検出する機能
意匠・構造・設備の異なるBIMモデルを統合し、配管が梁を貫通している、設備機器が天井裏に収まらない、といった物理的干渉を自動検出する機能。Navisworks、Solibri、Revizto などが代表的な専用ツール。
時間軸を加えた施工シミュレーション
BIMモデルに「いつ施工されるか」のスケジュール情報を加えて、施工順序を3Dで可視化する手法。Synchro、Navisworks、Bentley SYNCHRO 4D などが代表的。安全計画、仮設計画、進捗管理に活用される。
コスト情報を加えたBIM活用
4D BIM にコスト情報を統合し、設計変更時のコスト影響をリアルタイムに把握する手法。Revit + 積算ソフトの連携や、Vico、CostX、CMap などの専用ツールで実現する。
BIMモデルから材料数量を自動算出する作業
BIM オブジェクトの属性情報を集計して、コンクリート体積、鉄筋重量、仕上面積などを自動算出する。手作業の積算に比べて精度と速度が大幅に向上する。日本ではヘリオス、ROBOT BIM、各社積算ソフト連携が活用される。
制約条件を与えてAIに多数の設計案を生成させる手法
設計者が制約条件と評価基準を入力すると、コンピュータが組合せ最適化やパラメトリック探索で多数の候補案を自動生成する手法。Autodesk Forma、Refinery(Dynamo)、Spacemaker などが代表的。
3Dスキャンで取得した点の集合データ
レーザースキャナーやドローンSfMで取得した、空間内の点(XYZ座標と色情報)の集合データ。既存建物の現況把握、リノベ前のBIM作成、施工中の出来形検査、文化遺産アーカイブなどに活用される。
実空間を3Dデータ化する技術全般
レーザースキャン、写真測量、ドローンSfM、LiDAR、フォトグラメトリなどを総称した、実空間の3Dデータ化技術。BIM プロジェクトの開始点として、既存建物・敷地の正確な現況モデルを作る手段。
建材製造・施工に伴う温室効果ガス排出量
建物の運用段階ではなく、建材製造、輸送、施工、解体段階で発生する温室効果ガス排出。BIMモデルの数量情報と材料原単位を組み合わせて LCA(ライフサイクルアセスメント)を実施する。脱炭素時代の建築設計で注目度が高まる。
国土交通省が推進する公共インフラのBIM化政策
2023年度より「BIM/CIM原則化」が始まった、国土交通省直轄事業における3Dモデル活用の方針。橋梁、トンネル、河川、道路などの土木分野でモデル成果物の納品が必須化されている。要領・基準書が公式に整備されている。
国土交通省主導の建築分野BIM推進プラットフォーム
国土交通省、関係省庁、業界団体、ベンダーが参加する建築分野のBIM推進体。「建築BIMガイドライン」「建築BIM加速化事業」「BIM確認申請」など、建築分野のBIM運用標準を策定している。
日本の建築BIM運用標準を示す国交省ガイドライン
建築BIM推進会議が策定する、設計から施工・維持管理までのBIM運用フレームワーク。LOD相当の情報レベル、ステークホルダー間の役割分担、データ受け渡しの考え方を示す。
国交省によるBIM導入補助金事業
中小設計事務所・ゼネコンを対象に、BIMソフトのライセンス費用やコンサル費用の一部を補助する国交省事業。対象案件で BIM 成果物を作成することが条件で、日本の BIM 普及を支える施策。
組織のBIM運用全体を統括する役割
BIM ワークフロー、テンプレート、ファミリライブラリ、教育、品質管理、ソフトウェア戦略を統括する役割。海外では確立されたポジションで、日本でも近年専門職としての位置づけが進む。BEP の策定・運用も担う。
プロジェクト単位でBIM運用を回す役割
BIMマネージャーが組織全体の標準を作るのに対し、コーディネーターは個別プロジェクトで意匠・構造・設備の調整、CDE運用、クラッシュ検出、関係者間の情報橋渡しを担う実務役。
BIMモデリング実務を担う実行役
BIM ソフトウェアの実機操作、モデル入力、図面化、属性入力を担当する実務者。設計者本人がオペレーターを兼ねるケースと、外注を含めて専門オペレーターを配置するケースがある。
BIMモデルでの建築確認申請の取り組み
従来の図面ベースの建築確認申請を、BIM モデルで提出可能にする取り組み。一部の指定確認検査機関で試行が進み、IFC、PDF、専用フォーマットを組み合わせた運用が検討されている。
Archicad の日本仕様向け拡張機能
Graphisoft Japan が提供する Archicad 拡張で、建具、断面リスト、ST-Bridge Converter など日本の建築実務に直結する機能群。バージョンアップで継続的に強化されている。
最終更新日: 2026年5月25日
本用語集は編集部による独自整理です。各用語の公式定義は、buildingSMART、ISO、各ベンダー公式ドキュメントをご参照ください。