背景
NXT BLDは2017年に設立された、AEC業界の技術革新を先読みするためのイベントです。過去10年間、このイベントで予見されたジェネレーティブデザインやリアリティキャプチャといった技術が主流化してきました。現在、AI、設計自動化、データドリブンアプローチが建築・エンジニアリング・建設業界を再編しようとしており、2026年のNXT BLDはこの転換期をキャッチするための最重要イベントとなっています。AEC業界が2D から3D への移行以来、最大のワークフロー変革に直面していることが、このイベントの開催意義を高めています。
内容
NXT BLD 2026は2026年5月13~14日、ロンドンのQueen Elizabeth II Centreで開催されます。イベントには2日目にNXT DEVカンファレンスストリームが統合されます。主要テーマは「Agentic BIM」「デザイン自動化」「データファースト思考」の3つです。Agentic BIMは、知的なソフトウェアエージェントが設計者の支援に留まらず、ワークフローを主導し、意思決定、分析実行、学際的調整を最小限の人間介入で実行する世界を指しています。デザイン自動化はパラメトリックスクリプティングの領域を超え、建築システム全体を数週間ではなく数時間で生成・評価・最適化できる段階へ進んでいます。エンジニアリング分野での登壇者として、AugmentaのCEO Francisco Iorio、StructureCraftのLucas Epp、HvakrのAndrew KrippnerとDavis Muxlow、EndraのNiklas Lindgrenが参加予定です。自動製図制作についても、Robert Graebert(Graebert CAD)、Adi Shavit(Swapp)、Bill Allen(Chaos)などが登壇し、実装可能な段階に到達した技術を実演します。
技術的ポイント
Agentic BIMの本質は、従来のBIMが人間中心のツールであったのに対し、AIエージェントが自律的に設計・分析・最適化を実行する点にあります。これはプラグイン型スクリプト時代からの大きな転換です。データファースト思考はジオメトリではなく構造化データの価値を認識し、データの制御と統合が生産性の鍵となることを意味します。特にMEP分野では、Augmentaが一晩で3D MEP応答を生成できる技術を開発しており、これは従来の手作業設計とは比較にならないスピードです。自動製図生成も実験段階から実装可能段階へ進行し、建設ドキュメンテーション作成時間の大幅削減が現実化しています。BIMデータから直接施工図を自動抽出する技術が、ワークフロー統合レベルで機能するようになったことは、LOD 400~500の実装を加速させます。
業界への影響
Consigli社のAecom買収事例は、エンジニアリング能力への市場評価の高まりを象徴しており、AEC業界全体で「E」の重要性が急速に増しています。AI主導のエンジニアリングソリューションは、リアルタイム構造解析、全建築システムの統合解析、自動システム設計を実現し、従来の設計ワークフローを根本的に変えます。特に構造・MEP・電気分野では、AIが数日要していた検討を数時間で完結させ、複数案の比較検討を現実的にします。モノリシックなプラットフォーム型ソフトウェアから、オープンデータを中心とした軽量で機能特化したツール群への転換は、BIM環境全体のアーキテクチャを再定義し、プロジェクト納期の短縮と設計品質の向上をもたらします。