背景
GraphisoftのArchicadとAutodeskのFormaは、建築・建設業界における主要なBIMプラットフォームであり、大規模プロジェクトでは異なるプラットフォームを使い分けるケースが増加しています。従来、こうしたクロスプラットフォーム環境では、モデルデータやドキュメントの受け渡しに手作業のエクスポート・インポートプロセスが必要でした。特に国内でも、大型ゼネコンや総合設計事務所がグローバルプロジェクトに対応する際、異なるBIMツール間のデータ連携が業務効率化の課題となっていました。このような背景のなか、Graphisoftは直接的な統合接続機能の実装に踏み切りました。
内容
Archicad 29.2.0アップデートで実装された「Autodesk Forma Connection」は、ビルトイン型のパレット機能として提供されます。主な機能は二つです。第一に、ArchicadのBIM 3Dビュー・モデルを「Forma Data Exchange」形式でアップロードする機能。第二に、選択した発行セット(DWG、IFC、PDF、RVT等の複数フォーマット)をドキュメントとしてアップロードする機能です。これにより、ユーザーはArchicad環境にいながら、Autodesk Forma Data Management システムに直接データを送信でき、従来の別途ツールを経由する手間が削減されます。本機能はWindowsプラットフォームで利用可能で、Autodesk SDKの制限によるものです。ライセンス面では、Archicad Collaborate Plan、ならびにEDU・NFR・Trial Collaborate ライセンスで対応し、利用には有効なAutodesk Formaアカウントが必須となります。
技術的ポイント
この統合は、IFC形式を含む複数のファイルフォーマットに対応する点が重要です。IFCは国際標準のBIM交換フォーマットであり、建設業界全体での相互運用性を支える基盤ですが、従来はエクスポート後に別プロセスでインポートする必要がありました。本機能により、Archicadのネイティブデータベースから直接Forma Data Management へのデータストリーム化が実現し、データロスや手作業エラーの削減が期待されます。また、3Dビュー単位でのアップロード機能は、設計ステージ毎(スキーム・基本設計・実施設計等)に異なるビューを管理するArchicadの運用特性に適合しており、発行セットとの組み合わせにより、プロジェクト管理の粒度を保ったまま複合フォーマット対応が可能になっています。
業界への影響
本機能は、グローバルプロジェクトにおけるBIMワークフローの統一化を加速させるでしょう。特に、設計段階ではArchicadを、プロジェクト管理・サイト計画ではFormaを使う分業体制が一般的な大型案件では、データハンドオーバーの自動化により工期短縮とリスク低減が実現します。また、Formaの強みである気候・日照・通風シミュレーション機能との連携が、Archicadユーザーにより直感的にアクセス可能になり、早期段階での環境性能検討が加速するでしょう。一方、Forma側も設計BIMの精度なデータを直接取り込めるため、シミュレーション精度の向上につながります。