背景

改修・リノベーションプロジェクトでは、既存状態と計画状態の比較が不可欠です。しかし従来のやり方では、「解体」ステータスが設定された要素は計画状態のフィルタを適用すると非表示になってしまい、既存と新設を同一平面図上で視覚的に比較することが難しい課題がありました。設計変更が頻繁に発生する改修業務では、こうした図面更新の手間が大きな負担になっていました。

内容

Graphisoftコミュニティのメンバーが共有した「影ダイアグラム」ワークフローは、3Dドキュメントと改修フィルタを組み合わせた解決策です。具体的には、トップビューから2つの3Dドキュメント(計画/新設、既存/解体)を作成し、各々で影のみを色分け表示(新設は青50%、解体は赤50%)します。建物形状は非表示にして影だけを抽出し、複数のビューを重ね合わせることで、既存と計画の状態を同時に視覚化します。

技術的ポイント

このワークフローの鍵は、3Dドキュメント設定の活用にあります。各3Dドキュメントで「非切断線ペン:白」「非切断塗りつぶし:透明」に設定して建物形状を隠し、「影」機能を有効化します。さらに改修ステータス(New、To Be Demolished)に応じて塗りつぶしペン色を自動設定することで、リノベーションフィルタの切り替えに応じた色分けが実現されます。複数ビューはレイアウト上で積層配置され、同一の平行投影と縮尺が保たれることで正確な重ね合わせが可能です。

業界への影響

改修図面の作成効率が大幅に向上します。3Dモデルから自動生成される影は、太陽位置やモデルの変更に応じて自動更新されるため、設計変更のたびに手作業で図面を修正する必要がなくなります。既存と計画を色分けして同時表示することで、施主や工事関係者への説明資料としての説得力も高まります。このアプローチはBIMのパラメトリック特性を改修業務に活かす好例となり、他のAECソフトウェアでも応用可能な思考方法として波及する可能性があります。